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ニホンゴって難しい?

日本語は難しい言語だと思っている人が多いようですが、実際のところ、どれくらい難しいのでしょうか?もちろん、確かに学習したり、翻訳したりするには難しい言語です。でも、そこには、一般的に想像される難しさがあるのだと思います。
一般的には、何千個にも及ぶ漢字暗記することに対する難度の高さを想像する人が多いようです(もちろん、2種類の表記文字であるひらがなとカタカナの学習も必要な事は言うに及ばずですが)。漢字の“ウツ”はなんと29画もあり、めげそうです(一般的によく使われる漢字の平均画数よりもずっと多いです)。

実際のところ、2,136個ある常用漢字の暗記は、「難しさ」よりも、骨の折れる作業としての「大変さ」が勝ります。日本語の真の難しさというのは(日本語を翻訳する難しさ、とも置き換えられるわけですが)、文脈によって変化するニュアンスと意味合いの奥深さにこそあります。以下に、日本語を理解する上で、悩みの種となりうる事象をいくつかご紹介します。

丁寧な言葉遣い

英語では普通、声のトーンや言い方で、丁寧さを表現します。しかし、日本語では、話し手によっても、そして、誰に話すかによっても違う言葉が使われるのです。例えば、 「to do(〜する)」という意味の、基本動詞「する」ですが、自分自身の行動についてお客さんに対して使う場合は、“する”ではなく、“いたす”(謙譲語)を使います。一方で、お客さんの行動についてお客さんに対して使う場合は、“なさる”(尊敬語)という言葉を使います。同様に、「to come(来る)」という意味の動詞「来る」も、それぞれ“「まいる」(謙譲語)、「いらっしゃる」(尊敬語)と変化します。丁寧な日本語を使えないと、相手に対してものすごく失礼になる場合もありますし、更に、間違ったシチュエーションで謙譲語を使いすぎたりしても、それはそれで失礼に響いてしまう場合もあるのです。

Genkiですか?

日本語を(外国語として)話す人同士、英語の会話の中に日本語を挟むことがあります。例えば、「You look genki today.(今日はGenkiそうですね)」などです。なぜこのような事をするのかというと、genkiという日本語は、それと同じような意味を持つ英単語よりも、より広い意味を持ち、前述のようなシチュエーションに使う場合、より適切な言葉であるからです。

「Genki(元気)」は、多くの場合 、ワンパターンに「Cheerful」と英語に訳されがちですが、厳密にはGenkiの方がより広い意味を持ち、身体的、そして感情的な活発さを表す言葉なのです。次に、「Yappari(やっぱり)」という言葉を取り上げてみましょう。これ一言で英語の1センテンスを丸ごとカバーできてしまう場合もあります。「Yappari」は、普通、何らかの事象に対する一言の感想として使われます。例えば、AさんがB さんに対して「結局、行かなかった」と言った時、Bさんの回答として「Yappari」が使われます。(この場合のYappariの意味は:“あなたが行かないと、私は分かっていた”)

そのネズミはラット?それともマウス

英語では、ライスはライスです。でも日本語でライスというと、洋食の時に出てくるもので、普通の“ご飯”とは使う場面が違います。また、炊く前の状態を表す言葉は「米」であり、お寿司屋さんの用語で、酢飯のことは「シャリ」と言います。ちなみに「シャリ」という言葉は、「仏舎利」(釈迦の遺骨・遺灰)から来ており、寿司に使う米がそれに似ているのが由来です。

日本語は「チューチュー」、 英語は「Squeak, squeak(スクィーク)!」 © Wikipedia/George Shuk

実は、この辺りが日本語の、そして、日本語を翻訳する際の難しいところであり、日本語から英語に訳す時に困らされる部分です。例えば、日本語の「ねずみ」は、英語では、「rat」、「mouse」と2種類言えます。翻訳者は、その「ねずみ」が、「rat」なのか「mouse」なのか、どのように判断すればいいのでしょうか?もちろん、文脈で判断できる場面もありますが、さもなくば、筆者に直接尋ねないといけません!