記事やブログ、ニュースレターの執筆を頼まれたはいいけれど、そのトピックがなんというか…つまらない。
まず最初にお断りをしておくと、「つまらなすぎて耐えられない」トピックがもし本当にあるとしたら、私はまだ執筆を依頼されたことがありません。
私は長年、最初こそ退屈に思えたトピックに関するコンテンツを数多く制作してきましたが、詳細を調べるうちに、必ずといっていいほど興味深いものになっていくのです。実は、人物やインタビューについても同じことが言えるのですが、それはまた別の記事にて。
つい先日、ある日本企業のニュースレターを書いていた時にも同じ経験をしました。詳細は明かせませんが、その企業はコンクリート関連の事業をしており、特に有名というわけでもない、ということだけ書いておきます。
私の役目は、毎回のニュースレターの中で、成功したプロジェクトを1つ取り上げて紹介することです。そのために企業から提供された参考資料を使うのですが、その資料というのが、たくさんのデータや専門用語で溢れかえっていることがほとんど…
一見つまらなそうなトピックを面白い読み物にするには、どうしたらいいのでしょうか?
書き出し、本文、締め…と、大量のコンクリート
まずどんな時も欠かせないのが、ストーリーを見つけること。なにも『誰がために鐘は鳴る』のような壮大な物語を書く必要はありません。終始一貫して筋が通っており、あるトピックに集中して展開できると良いでしょう。
私がニュースレターで特集した大規模建設プロジェクトは、何ヶ月もかけて計画をした後、実際の建設作業はごく短期間で行われたのですが、これによってストーリーに時系列的な枠組みが加わりました。時系列に沿ってストーリーを展開する、これは最も古くから存在するシンプルな文章構成です。
そしてその案件には、信じられないほど煩雑で重い機材や綿密な安全管理措置など、興味深いディテールもたくさんありました
気をつけなければならないのはここからです。私たちの目には生き生きとしたストーリーを紡ぎ出してくれる最高の素材として映るこうしたディテールは、その分野の専門家にとっては平凡すぎてわざわざ言及する必要性を感じられなかったり、参考資料にある他の情報の中に埋もれてしまっていることがあります。
こうしたディテールを発掘するためにも、与えられた資料を丹念に読み込み、必要であれば質問することが何より大切です。

人間らしいアングルがあるか?
ストーリーに命を吹き込むもう一つの方法は、人間らしいアングルを加えること。特定の人物にフォーカスできるだろうか?できるならば、彼らはどんな困難に直面したのだろうか。そしてそれをどう乗り越え何を学んだのか。参考資料には、インタビューやコメントなどが含まれているだろうか?
ここまでくると、ジャーナリズムっぽくなってきた…と感じる方もいるでしょう。もちろん、ジャーナリズムもストーリーを伝える点では同じですが、マーケティングやPRとは根本的な目的が異なります。
写真、あれば動画も活用しよう
ニュースレターの「執筆」があなたの役割だとしても、写真には言葉以上に力強く物語を伝える力があります。写真、もしくは動画があれば必ず活用したいところ。2〜3枚の写真を入れるだけでそれらが自然とストーリーを紡ぎ出し、一目で物語を伝えることができます。
写真や動画に添えるキャプションも、内容に面白みを加える素晴らしいネタになります。簡潔で軽快ながら印象的なものを考えましょう。

何はともあれ、「面白くなさそう」なトピックについてニュースレターやその他コンテンツを書かなければならなくなった時、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
面白くなさそうで実は面白い書籍3選
最後に、腕利きのライターは一見つまらなそうなトピックも見事に書き上げてしまうことを証明する、内容も読みやすさも極上の3冊をご紹介します。
『文房具の冒険 ペンケースの旅』James Ward 著 モールスキンのノートからSTABILOの蛍光ペンまで、文房具について知りたかったことならなんでも知ることができる一冊です。
モールスキンのノートからSTABILOの蛍光ペンまで、文房具について知りたかったことならなんでも知ることができる一冊です。
『世界を変えた地図』Simon Wincester 著 Simon Wincesterは、決して華やかとは言えないトピックについて何冊もの本を執筆しています。その中には、まったくつまらないとは思えない『オックスフォード英語辞典』編纂の軌跡を追った書籍なども。
今回ご紹介する書籍は、岩、特に「地理の父」と言われるWilliam Smithについて書かれたものです。Smithは私が育った場所から徒歩圏内のバースに住み研究していたとのことで、それだけでこの本に愛着が湧いてしまいます。
The Map that Changed the World on Goodreads
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『私のタイプ』Simon Garfield 著
Simon Garfieldは、イギリスの素晴らしいノンフィクションライターの一人。HelvaticaからComic Sansまで、お馴染みのフォントについて詳しく知りたい方にはこの本がおすすめです。
『ニューヨーク・タイムズ』はこの本について、「ベストセラーとなった『Eats, Shoots & Leaves』でLynne Trussが句読点に対して行ったことを、タイポグラフィで再現した」と書評を掲載しています。
Just my Type on Goodreads
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