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文字通り「おいしい」日本食のプロモーションコンテンツ

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Tony McNicol
WeDoJapanディレクター。日本の観光・ツーリズム、サステナビリティ、メディア分野で、心に響くコピーライティング・マーケティング翻訳をお届けします。
09BambooMat14FEB24

昨年、文字通り美味しい仕事を受注しました。イギリスの日本食を紹介するコンテンツの制作を任されたのです。新たなトレンドをリサーチし、面白そうなレストランを探し、シェフにインタビューをして写真を撮る。そうして集めた材料を料理し、記事を作り上げていきました。

ところが、始まってそうそう課題にぶつかります。数ある日本食レストランの中から、特集する対象を選ばなくてはなりません。

ロンドンに1,000店舗以上存在する日本食レストラン

トリップアドバイザーによると、ロンドンには約1,000店もの日本食レストランが存在するそうです。しかし、日本食はつい最近までイギリスでは珍しい食べ物でした。そしてもちろん、「日本食」と一口で言ってもそれが実際に何を意味するのか、本当の日本食とは何か、が理解されていない状態でもありました。私が育った街バースでは、「sumo wok(中華相撲)」というレストランがあったのを覚えています。

日本食ブームは、1990年代にアジア各国の要素を組み合わせたフュージョン料理チェーン「Wagamama(わがまま)」の登場や、ラーメンやカツカレーといった日本の定番食が普及したことから始まりました。最近では、日本におけるツーリズムの急速な成長と、イギリスでもこれまでより手軽に日本の材料を手に入れられるようになったことで、和食の人気がさらに高まっています。

数週間を費やしてクライアントともにトレンドや飲食店の長いリストを作り上げ、ついに以下の6つに絞り込むことができました。

カツカレーの王者

ロンドンフィンズベリー・パークにあるHidenのカツカレー(写真:トニー・マクニコル)。

Hiden Japanese Curry Lab」は、フィンズベリー・パークにあるカツカレー専門店です。

言葉を扱うものとして、カツカレーについては色々と思うところがあります。「カツ」という言葉は、厳密には鶏肉や豚肉で作るカツレツのことを指すのですが、イギリスでは「カツ」が日本風の少し甘みのあるカレーを指すようになっている気がします。

それは置いておいて、Hidenでは本物の日本食を提供しています。もちろんお味も最高。カツカレーをクロワッサンで包んだ「カツカレー・クロワッサンド」なるものまで提供しています。

日本食にインスパイアされたイタリア料理

ダルストンにある「Angelina」のオーナー、アマール・タカール氏(左)とジョシュア・オーウェン=ベイグラー氏(右)。写真中央はシェフのウスマン・ヘイダー氏(写真:トニー・マクニコル)。

イースト・ロンドンのダルストンにある「Angelina」は、日本食をインスピレーションとして丹精込めて作るイタリア料理が評判のレストランです。オーナーのアマール・タカール氏とジョシュア・オーウェン=ベイグラー氏、そして才能溢れるシェフのウスマン・ヘイダー氏とは、非常に有意義なお話をさせていただきました。

彼らが提供するのは、フュージョン料理ともまた違う、日本食材料を使ったイタリア料理です。時にはイタリア食材を使った日本料理も提供しています。私が衝撃を受けたのは、彼らが行っている「イタリアのおばあちゃんテスト」です。「本物の」イタリア料理や日本料理を作ろうとするのではなく、「イタリアのおばあちゃんならこの新しい料理をどう思うか」を考えて作っているのだそうです。

日本酒、梅酒、ウイスキー、焼酎、ジン、それから…

Sake Collectiveでマネージャーを務めるサトシ・ヒラサキ氏(写真:トニー・マクニコル)。

今回の案件の主な目的は日本食に関するコンテンツを制作することでしたが、昨今は日本酒も話題になりつつあるように感じます。そこで、私たちはロンドンの日本酒専門店「Sake Collective」を訪れました。イギリス最大の日本酒レパートリーを展開する同店ですが、日本酒以外にも日本のアルコールを豊富に取り揃えています。詳しくは、イギリスで次のブームとなるかもしれない泡盛に関するブログ記事にも掲載しています。ご興味がある方はそちらもぜひご覧ください。

ショップマネージャーのサトシ・ヒラサキ氏にインタビューをするため、「Sake Collective」の店舗を訪れました。 ショップマネージャーであるだけでなく、日本酒エキスパート、そして熱心な日本酒講師でもあるヒラサキ氏からは、日本酒初心者向けの「Sake 101」や、日本スタイルのパティシエと共同で行うペアリングイベントなど、ショップで開催される興味深いイベントについても教えていただきました。

お品書き

イギリスにおける日本食については、他にも3つの記事を執筆してきました。

ティム・アンダーソン氏の料理本

アンダーソン氏は、テレビ番組『マスターシェフ 天才料理人バトル!』の優勝者であり、日本食関連の料理本を数冊出版しているフードライターでもあります。私は彼の料理本の中でも特に東京料理にフォーカスをあてた『Tokyo Stories』が好きなのですが、自家製カルピスの作り方まで載っているところがたまりません。最近、北海道料理に関する書籍を出版したアンダーソン氏に、ロンドンのご自宅でインタビューをしました。

「日系」ペルーと日本のフュージョン料理

ロンドンでは「日系」料理の人気がしばらく続いています。フュージョン料理とも言えるかもしれませんが、最近になって考案された多国籍食材の組み合わせとは異なり、20世紀に突入する頃にペルーに移住した日本人たちによる、歴史的なルーツが反映された料理です。ストラットフォードの「Bamboo Mat」を訪れ、オーナーやシェフの方々にお話を伺いながら、「ティラディート」という刺身に似たペルー料理をいただきました。

SW3で楽しむ寿司とスーパーカー

この記事は、ケンジントン・アンド・チェルシー区にある「Dinings SW3」を訪れた時のものです。ここは首都圏内で最も品格のある地区で、マンダリン・オリエンタルホテルやデパートのハロッズ、様々な美術館・博物館が集結し、道でスーパーカーに出会うことも珍しくありません。この場所でシェフのマサキ・スギサキ氏にお話を伺い、写真を撮影してきました。

時は1968年…ロンドン初の日本食レストランが誕生

最後に、リサーチ中に出会った小ネタをご紹介します。今では1,000店舗以上の日本食レストランが名を連ねるロンドンですが、どれが最初のレストランで、いつ誕生したのでしょうか?

ロンドンに初めて誕生した日本食レストランはボンドストリートの「Hiroko」というお店で、なんとオープンは1960年代後半まで遡ります。1968年当時のPatheニュースリールレポートで紹介されていました。タイムトリップして当時の様子をご覧になりたい方は、ぜひ視聴してみてください。

ふくよかな体格が想像できるチャーミングな声のナレーションで、「Nipponese noshery(ニッポン風のお食事処)」と紹介される場面が特にお気に入りです。