フィフティ・シェイズ・オブ・グルー?

翻訳をしていると、至極シンプルに思われる言葉に非常に悩まされることがあります。

例えば、日本語の「青(ブルー)」という単語を調べてみると、青いという意味だけでなく、その前後関係によって緑(グリーン)、白(ホワイト)、灰色(グレイ)、黒(ブラック)といった意味まで出てくるので驚きます。

隣の芝生はいつも青い

青色? ©Wikipedia/J.M.Garg

日本の子供たちは「青」野菜を食べるように親から言われます、隣の芝生はいつも「青い」です、そして、信号で「青」は渡れのサインです。ここまで読んで、あなたは、日本語を理解するのは本当に難しいんだなと思い、自分のことを未熟者(*英語ではgreenhorn(緑の角)と表現)だなと感じたのではないでしょうか。それとも、青二才と思ったでしょうか?

私は、別にあなたを青く(白く、ではなく)させるつもりはないんですけどね。

 

実は、青と緑の日本語での使い分けは、それほど無秩序で曖昧なわけでもありません。

“青い”という日本語の言葉の意味に、青と緑の2つの色が含まれているのは本当です。英語でははっきり分けられている部分ですが。実は、「青」という漢字が中国から日本に入ってきた当時から、この漢字には2つの色の意味が含まれていたのです。そして「青」という漢字の守備範囲は、黒(ブラック)にまで及びます。「青毛(あおげ)」という言葉は、主に、黒色の馬の毛色に対して使われます。(この色は、英語では「Raven(レイヴン)」と表現される光沢のある紫がかった色と同類か)

面白いことに、日本語と同じように中国語の影響を受けている、韓国語やベトナム語も、青と緑に対して1つの言葉を使うことが多いようです。この言葉のことを、ある言語学者は「grue(グルー)」と呼んでいます。

ブルー or グリーン

実は難しい © Wikipedia/Marc Mongenet

この(中国の)昔からの使い方が日本語に定着したのです。この使い方は、時間の概念に関係のない現象に用いられるようです、例えば、青空や、青菜、青田買い(現代日本語では、企業が有望な若者を学生のうちから就職内定させることに使われることが多い)のように。

緑という言葉は、8世紀平安時代になって初めて使われるようになりました。

その時も、若さや、新鮮な様を表現する時に使われており、そのものの色を表すというよりは、青色の補足の意味合いでした。現在の日本語では、緑は、緑色そのものより“緑化”的な意味合いでよく使われます。

 更にもう1つ緑を表す言葉があり、それが英語のGreenから来た「グリーン」です。

素材の色を選ぶときに、グリーンという言葉がよく使われます。例えば、ソファを選ぶときは、グリーンのものを選びます、緑や青というチョイスはありません。また、同じように、青いソファというチョイスはなく、ブルーのソファを選ぶことになります。

 

青が青色を意味するとき

場合によっては、青が実際に青色を意味することもあります。日本の“青い”信号機は、世界のその他の信号機に比べて、実際に青っぽいのです。色覚異常を持つ方々への配慮でそのようになっているとのことです。また、人に対して使う表現で、“尻が青い”という言葉がありますが、これは、その人が未熟であるという意味です。

多くのアジアやアフリカの赤ちゃんは、蒙古斑として知られる、お尻や腰の部分の青い色素沈着を持って生まれます。つまり、尻が青いというのは、未熟ということなのですね。

また同じように“青臭い”という表現もあります。兎にも角にも、青と緑に関する言葉は、白黒はっきりしないものなのです。

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