クールジャパンは必要か?

イギリスのスポーツカーが好きなフランス人は、キャス・キッドソンのバッグも好きだろうか。スコッチを愛する中国人はどうだろう。彼らはUKポップスにも心奪われるだろうか。答えはどちらもたぶん「No」。そんなところからある疑問が生まれた。なぜ「クールジャパン」と称して、寿司から盆栽用の剪定ばさみ、クレヨンしんちゃんから剣道にいたる一切合切をまとめたイベントやキャンペーンをするのだろう。

日本文化を宣伝しようとする政府の人々にとって、世界は「熱心な親日家」と「それ以外(親日家)」という2つに分類されているらしい。少なくともここイギリスでは、私自身のように日本に関すること全般に興味があるという人はまれで、いたとしてもそういった人々の大半は、日本在住経験があるとか、旅行で訪れたことがあるとか、日本人と結婚しているとかいった人々である。彼らは、現在は海外居住者ながら、テレビに出て日本文化を熱く語り、政府の広報役員名簿に名を連ねていたりする日本在住歴の長い外国人と同類だ。

ニッポン通

こうした人々にぴったりの「ニッポン通」という呼び名がある。そしてその逆に、「フランス通」や「イタリア通」、さらには信じる信じないは別として「英国通」であることを自他ともに認める日本人は無数にいる(ここでいう~通とは、いわゆる「~」のものは基本的に全部好きだという人々である)。彼らは、その国の熱心なファンである。おそらく政府のクールジャパン広報担当者は、こうした「~通」のような「ニッポン通」(およびその予備軍)が海外にも大勢いることを見込んでいるのだろう。

しかし、実際のところ、日本文化が好きだという欧米在住者の大半は、例えば抹茶や緑茶が好き、空手の練習が好きなど、日本文化の中のある1つの事柄についてそれが「自分に合っている」ために好きなのだ。彼らが、それ以外の日本文化にまで興味を示すかは疑わしい。

Are these really connected?

寿司が好きな外国人は、はたして剣道も好きだろうか。

インターネットが普及したおかげで、人々の関心は非常に多岐にわたるようになった。弊社のブログを読んでくださっている人々なら、日本製の着ぐるみを専門的に販売するイギリスのウェブサイトが成功を収めていることや日本製ライダー用ジーンズのウェブショップがイギリスのバイク愛好家たちの間で人気だということをご存じだろう。しかし、日本製の着ぐるみやジーンズを好んで買うそうした顧客たちは、はたして歌舞伎や懐石料理も好きになるだろうか。つい最近、息子たちが通う地元の学校の用務員さんから、桜皮細工の茶筒の入手方法について相談されたばかりだ。理由は、桜皮細工の色合いが彼の家のパープルを基調にしたキッチンに合うからとのことだった。

優れた日本のモノを売るには、クールジャパンの宣伝など必要ない。イギリスには日本のブランドであることすら知られていない人気商品もたくさんある。日本の公文式は「Kumon」として英国各地に680か所の教室がある。「Kumon」が日本発祥であることは、ウェブサイトを注意深く読み込まなければわからない程度にしか書かれていない。そしてイギリスにいる人々の大半は、「Yakult」が日本の「ヤクルト」であることを知らない。

ここはひとまず誇り高きお国文化のことは忘れて、単純に日本製品を「世界で1番の製品」ということで宣伝してはどうだろう。だって幸福なことに、往々にしてそれは本当なのだから。

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